ベトナムビジネス倶楽部


日本人の現地採用

 ベトナムでの日本人現地採用に対する需要(求人)は、SARS、鳥インフルエンザの影響で旅行関係では減りましたが、製造業における生産管理、生産技術者に対する求人は着実に増えており、全体としては数の面では増加、求める能力・経験は高度化する傾向にあります。それに対して供給(求職者)の数はは横ばいです。その結果、優秀な日本人を現地採用することは難しくなる傾向があります。そして現在、現地採用の給与水準は徐々に上がっています。

 また優秀な人材を採用し長く勤めてもらうためには、それなりの待遇が必要です。待遇が十分でなく昇給もないとなると、下記の理由(囲み記事「生活費」)により転職せざるを得ません。その人は会社を去っていきます。
 ただ外国で暮らしてみたいという若い人は、月給数百ドルでも生活費の足しになるので働いてくれます。ただ仕事やベトナムでの生活に飽きると、さっさと帰国、または他の国へ行ってしまいます。ベトナムでずっと暮らしたいと考えている独身者は特に不自由なくやって行けるので月給1000USDでもあまり文句は言いませんが、数年すると結婚することになり転職を考えます。そしてまた子供が生まれると1000USDちょっとの月給では将来が不安になるので、より給料の高いところへの転職を考えることになります。
 その結果、現地採用の給与額と勤続年数(辞めるまでの期間)との間には感覚的には次の関係が見られます。
   ○月給1000USD以下:数ヶ月〜1年数ヶ月
   ○月給1000〜1500USD:2〜3年数ヶ月
   ○月給1500〜2500USD:4年〜数年
   ○月給2500以上:ずっと
 転職されないようにするには、昇給が必要です。
 因みに最近、長くベトナムに住んでいて子供もいる人が日本に帰国する例が増えてます。理由は子供の教育などいろいろあるでしょうが、十分な収入があればベトナムにいられたかも知れません。優秀な人が帰国してしまうと人材不足の原因となります。

生活費物価のページより)
 ベトナム社会が経済発展するにつれて、普通に生活していると結構かかる様になってきました。以前はお金を使う場が無かったので使わないで済んでいましたが、そうも言ってられません。ホーチミン市の中流レベルのベトナム人と同等以上の生活をすると家族4人(子供はローカルの幼稚園)で最低500USDくらいはかかります(住居費別)。それに子供を学校に通わせると教育費が膨らみます。ホーチミンの日本人学校の学費はバス代を含めて450USD/月ですので、二人も行かせると900USD。生活費は月に1500USDくらいになります(住居費別)。ローカルの学校でよければ教育費は安く済みますが、公立の学校に通っている日本人の子供はほとんどおらず、ベトナム人との間の子供でも普通はローカルのインターナショナルスクール(英語での授業あり)くらいに落ちくつようです。これでも日本人学校の半額くらいは必要です。

 これに日本に帰国する際の費用、病気や事故への備え、老後への備え、日本にいる親への仕送りなどを考慮すると、更にお金が必要になってきます。結局、ベトナムの物価が安いと言ってもそれは食費と日用品だけのことで、教育費で相殺されると生活費は日本とあまり変わりません。

 現地採用の月給1000USD位だと、独身、夫婦二人だけなら何とかなりますが、昇給がないとじきに破綻する?かもしれません。また、いつまでも月200USDの部屋に住んでもいられませんが、不動産が高騰してしまったためベトナム人の配偶者がいてもマイホーム購入が今では難しくなってきました。ベトナムに来てから貯金を始めたのではとても家を買えません。銀行ローンは外国人では組めませんし、たとえ配偶者がベトナム人でも金利は10%以上ですので返済がかなり苦しくなります。一戸建てを市内で借りると400USD前後はかかります。

 ということで、生活費とその他を賄うには月2000USD以上が必要になってくるでしょう。現地採用の日本人に永く勤めてもらうにはこのくらいの給料は必要です。

 ベトナムでは、シンガポールやタイにあるような大手日系人材紹介会社は営業していませんし、職安もありません。ですので日本人現地採用の方法は、人脈をフルに使って探すのが基本になります。またはベトナム生活倶楽部のベトナム求人情報に求人情報を掲載して紹介を受けてください。企業側には費用は発生せず無料です。

 現地採用の問題点に、せっかく仕事を覚えたので直ぐに辞めてしまうということがあります。その理由の一つは上記の待遇の問題ですが、採用後直ぐに辞めてしまったという場合は、それとは違うこともあります。
  
つづく



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